韓国・ジェネシスより新型SUV・GV70が発表された。同社のラインナップではセダンであるG70やGV80と並ぶ、中核モデルとなる予定だ。ラグジュアリーなミッドサイズSUVとして、欧州市場で中型のプレミアムSUVが占めるセグメントへの斬り込みを目指す。
北米市場で覇権を握り、欧州を狙うジェネシス
快進撃が止まらないジェネシス。2019年には、G70・G80・G90といずれもセダンの3モデルしかラインナップしていなかったにも関わらず、北米市場では過去最高の販売台数を記録。2020年になると、韓国国内で7月までに6万5台を売り上げた。
メルセデスは4万1,583台、BMWが2万9,246台と大きく引き離した格好だ。伸び率でいえばメルセデスが前年同期比3%増、BMWが35%だったのに対し、ジェネシスは65%と目覚ましい。この勢いなら、確実に2020年の販売台数でもトップに輝くはずだ。
そして、ここにきてダメ押しのように発表されたのが新型GV70である。ブランドとしては、2020年の1月に発表されたGV80に続くSUVラインナップの第2弾にあたる。GV70が初めて披露されたのは2020年9月のことだった。この時は、まだ詳細はほとんど明らかにされておらず、ボディにもカモフラージュが掛かった状態であった。
ジェネシスは、この新型GV70を「ダイナミックなミドルクラスサイズのSUV」と位置づけている。メルセデスのGLC・BMWのX3・レクサスのNXが、市場で占めるシェアを狙う。
パワートレーンは3種類
新型GV70に搭載されるパワートレーンは、最高出力304PSの2.5L 直列4気筒ターボチャージャー付ガソリンエンジンと、最高出力210PSの2.2L ディーゼルエンジン。それに、最高出力380PSを発揮するパワフルなV型6気筒ツインターボチャージャー付きガソリンエンジンの3種類だ。
V型6気筒エンジンを除く2つのエンジンは、2020年9月9日にビッグマイナーチェンジが発表されたスポーツセダンG70と同様のものである。これらのパワートレーンに、8速のオートマチックトランスミッションを組み合わせた。
また、路面状況や走行状況に応じて4輪それぞれにトルクを適切に配分する電子リミテッドスリップデフを採用し安定性を向上させた。さらに、フロントカメラより取得した前方路面の状況に応じ、サスペンションの減衰を自動調整する電子制御サスペンションも搭載。スムーズかつ快適な乗り心地を実現。SUVとしての悪路走破性を高めるため、AWDも採用する。雪・砂・泥など、各路面状況に応じて、エンジンやブレーキ、トランスミッションなどを総合的に制御する。
特別装備が与えられるスポーツパッケージも用意
デザイン自体は、ジェネシスが掲げるデザインフィロソフィー「アスレチックエレガンス」に基づいたものだ。
フロントフェイスでは、ロゴをモチーフにデザインされた大型のクレストメッシュラジエーターグリルが目を引く。2本重なった薄型のヘッドランプであるクアッドランプがスピード感を強調し、フロントバンパー下部に装着されたスキッドプレートがSUVらしいパワフルなイメージを生み出している。
リアビューでは、テールライトをフロントと同様のクアッドランプとした。マフラーエンドは個性的な垂直形状となっており、ユニークな外観から目が離せなくなる。
ベースグレードの他、GV70にはスポーツパッケージも用意された。こちらでは、専用デザインのフロントバンパーやダーククローム仕上げとなったダークティントラジエーターグリル、専用の「G-Matrix」デザインが用いられた21インチホイールなど、多くの専用装備が与えられる。
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新型GV70は2021年の販売を目指している、現在は韓国国内の公道でテストを行っているはずだ。GV70のプロトタイプに運よく遭遇して、カモフラージュをスマートフォンでスキャンすると、詳細がシェアされるという面白い仕掛けもされているようだが、それを実際に行うことができる日本人は恐らくいない。ジェネシスが本格的に欧州参入を果たすための切り札がGV70である。今から各メーカー戦々恐々としているかもしれない。