2020年10月15日、仏ルノーがコンセプトモデル『メガーヌ イーヴィジョン』を公開した。プラットフォームに、ルノーと日産および三菱がアライアンスするCMF-EVアーキテクチャを採用。
2021年末の生産スタートを目指して開発が続けられている。
ルノーが示す方向性と未来
今回発表された新型EVメガーヌ イーヴィジョンは、モデル名こそメガーヌを冠しているいるものの、ハッチバックの現行メガーヌとの関連性は薄い。どちらかといえば、今年の7月にデジタルワールドプレミアされた、日産の新型EVアリアの兄弟車といえる。
なぜかといえば、日産アリアにも採用されているCMF-EVを共通するためだ。
しかしながら、そのスタイリングは日産アリアとは似て非なるものとなっており、メガーヌ イーヴィジョンではコンセプトEV モルフォズをベースとしている。
このモルフォズとは、ルノーが2020年3月に発表したモデルであり、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて開催中止となっていたジュネーブモーターショー2020にて発表される予定だった1台だ。
ルノーグループは、欧州においてEVを始めとする電動化モデルの分野でリーダーシップを確立している。モルフォズは、将来のルノーグループの方向性とビジョンを明確に示すためのモデルとして発表された背景がある。
つまり、ルノーはそんなモルフォズをベースとしたメガーヌ イーヴィジョンにて、「ルノーの未来の姿」を具現化した、というワケだ。
コンセプトカー『モルフォズ』をベースとしたデザイン
スタイリングの話に戻るが、メガーヌ イーヴィジョンの3サイズは全長4,210mm×全幅×1,800mm×全高1,505mm、ホイールベースが2,700mmとなっている。モルフォズには、走行距離と目的に応じてフロントフェンダーとリアエンドが可変し、全長が伸縮する画期的な機構を備えていたが、量販化を目指すメガーヌ イーヴィジョンには残念ながら採用されていない。
現行メガーヌハッチバックとサイズを比較してみると、ホイールベースは延長され、全長は短くされている。このスタイリングを、ルノーはダイナミックなハッチバックと位置づける。
コンパクトカー・SUV・クーペ。
異なる3タイプの良さを両立させたスタイルだ。
フロントフェイスを見てみると、日産アリアではシールドと呼ばれる閉じたフロントグリルを始め、シャープで薄いマトリクスEDヘッドライトが先進性を醸し出す。
フロントバンパー両サイドには、ホイールアーチへ流れ込むエアーを整流するためのエアスクープを備えた。
ルーフが浮いたような錯覚を起こすフローティングルーフには、ガンメタリックのボディとのコントラストを生み出すゴールドカラーが採用された。このコントラストは、リアに装着されるエンブレムバッジにも取り入れられており、“Megane”の“e”と“VISION”も鮮やかなゴールドカラーとなる。
ラインナップの広がりが期待されるパワートレーン
今回発表された、メガーヌ イーヴィジョンには60kWhの薄型設計バッテリーが搭載されている。最大で130kWの急速充電が可能だ。最高出力は160kW/最大トルクは300Nmを発生させる。加速性能も、EVモデルらしく100km/h到達まで8秒を切る俊足だ。
航続可能距離については詳細は明かされていないものの、およそ450kmほどになるという。
メガーヌ イーヴィジョンも日産のアリアがそうであるように、異なる容量のバッテリーを搭載したモデルがいくつか用意される可能性が高い。
もしそうなるのなら、メガーヌ イーヴィジョンでもいくつかのバッテリーに加え、シングルモーターFF/ツインモ―ター4WDが登場するだろう。
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このメガーヌ イーヴィジョンの登場により、メガーヌ――引いてはルノーが生まれ変わることになる。
今回の発表ではキャビン内部は公開されていないが、コンパクトボディに似つかわしくない大型セダンに比類する広さを誇るとされる。
コクピットやインパネ周りのデザインにも期待が膨らむばかりだ。
ルノーが誇る伝統のハッチバックが、これから新しい歴史を作るのかと思うと感慨深いものがある。