フォルクスワーゲングループの一角、情熱の国・スペインの自動車メーカーであるセアトの主力モデル『レオン』がアップデートを果たした。2012年に現行モデルとなる3代目が発表されて以来、およそ7年ぶりのモデルチェンジとなる。
激戦区、欧州Cセグでの本命となれるか?
以前、スポーティモデルであるクプラ アテカを紹介したことがあったが、今回取り上げるレオンはセアトが誇る旗艦モデルだ。
今回のモデルチェンジで4代目となるアテカは、シリーズ歴代でフォルクスワーゲンのゴルフやアウディのA3とプラットフォームを共通してきた。
日本では待ち遠しくもお預けを食らっている新型ゴルフが、8世代目となっているのだから、今回レオンに施されたアップデートはごくごく自然な流れだともいえる。
兄弟車のゴルフがそうなのだから、レオンも当然Cセグメントに属している。3サイズは、全長4,368mm×全幅1,800mm×全高1,456mmだ。
トヨタのカローラやマツダのマツダ3に近い。
5ドアのハッチバックを基本とするが、レオンにはワゴンスタイルのエステート(スポーツツアラー)も存在する。こちらは、全長4,642mm×全幅1,799mm×全高1,448mmとなっており、ベースのレオンに比べて僅かに低く、長いボディが与えられている。
両者の決定的な違いは、ボディスタイルもそうだがトランク容量だろう。レオンは380L、レオンエステートは620Lの容量を誇る。後は価格だろうか、レオンが日本円でおよそ250万円~なのに対し、エステートはおよそ280万円~だ。搭載するパワートレーンなどは変わらないので、ゴルフとゴルフヴァリアントのような関係といえばイメージしやすいだろう。
PHEVも新たに採用
今回、レオンが受けたアップデートの一番の目玉といえば、e-ハイブリッドと名づけられたPHEVが設定されたことだろう。このハイブリッドシステムは、1.4LのTSIエンジンに75kwを生み出すモーターを組み合わせたモノで、総合では最高出力204PSを発揮する。
走行中に2つのモードを選択することができ、完全電動のエレクトリックモードでおよそ60km、モーターとエンジンでの走行なら800kmの航行が可能だ。
もちろん、このPHEVはレオン エステートにも設定されており、出力や航続可能距離は変わらないもののモ―ターのスペックが85kwと異なっている。
とはいえ、こちらは本国でも未導入だ。
レオンのハイブリッドが走り始めるのは2020年秋ごろとアナウンスされている。現在利用可能なパワートレーンは、3種類のガソリンエンジンとディーゼルエンジンの4種類。
グレードによって搭載されるエンジンが異なり、ミドルグレードのSE ダイナミックではガソリンエンジンモデルで1.0Lで最高出力109PS、1.5Lでは最高出力128PS。ディーゼルエンジン搭載モデルなら2.0Lの最高出力113PSとなる。
これらのユニットに6速のマニュアルトランスミッションが組み合わされるが、スポーティグレードとなるFRになると、ATおよび7速MTに最高出力148PSを発生させる1.5Lエンジンが搭載される。
兄弟よりも良いと評されるインテリア
一方、インテリアについてもミニマリストなゴルフから多くのものを共通している。
が、キャビン内部についてはレオンの方が優れているという声も少なくない。
操作系のほとんどはダッシュボード中央に配置された10インチのデジタルナビゲーションシステムに統合され、物理スイッチが極力なくされたデザインは未来的かつシンプルな綺麗さが漂う。
搭載されるインフォテインメントシステムには音声検出機能も採用され、インテリジェントだ。
デジタルコクピットやインフォテインメントの画面構成はカスタマイズ可能なので、ドライバーの使い勝手が良いようにいくらでも試行錯誤できる。
また、国産車ではほとんど採用されていない、ワイヤレスでのスマートフォン充電にも対応している点もポイントだ。
シームレスかつリアルタイム――レオンのコクピットを言葉で表現するのなら、そうなるだろう。
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現在、欧州のCセグは激戦区だ。ゴルフを筆頭に、フォードのフォーカス、ヴォクスホールのアストラ、ルノーのメガーヌ。そして我らがホンダ シビックとトヨタのカローラだ。
しかし、桶狭間合戦の様相を呈するこの市場でもレオンはひと際輝いているようにも見える。
ゴルフにはないシャープでスポーティなエクステリアデザイン、先進的でミニマルなインテリア。故郷を同じくする同クラスのモデルと比べて、販売価格も幾分リーズナブルだ。日本国内に、正規ディーラーが存在していないのが本当に悔やまれる一台である。