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【マクラーレン セナLM】秘密のヴェールに包まれた限定モデル…とは?

メーカーが、その存在をひた隠しにするモデルが存在する。その名をマクラーレン セナ LM――マクラーレンのサーキット専用モデル・セナ GTRを公道仕様にチューンしたという幻のモデルだ。しかし、スペック等詳細はほとんど明らかにされていない。セナLMの正体に迫る。

謎に包まれたセナ LMと、ベースとなったセナGTR

セナ LMは余りに多くの謎に包まれている。

名前ばかりが一人歩きしていた2019年末、スコットランド・グラスゴーにある正規ディーラーがSNSへショットを投稿した。この出来事によりセナ LMは、ようやくクルマ好きが生み出した架空のマシンではないことが証明されたのである。

では、セナGTRとはどのようなモデルだったのだろうか。

セナGTRが発表されたのは2019年3月8日のことだ。多くの輝かしい実績と伝説を持つ、英雄的F1ドライバーであった故アイルトン・セナの名前を与えられたこのモデル。

2018年にワールドプレミアされ、世界限定500台かつ販売価格は日本円でおよそ1億円という超希少モデルであった『セナ』をベースに開発され、台数はさらに絞られた限定75台。価格は『セナ』を超える110万ポンド(日本円で約1億5865万円)だが、発表と同時に予約で完売した伝説を持つ。

4.0LのV型8気筒ツインターボエンジンをミドシップにレイアウトし、最高出力825PS/最大トルク81.6kgmを1188kgという羽のように軽いボディに搭載。

ボディはフルカーボン製で、キングコングの心臓のようなモンスターエンジンが生み出すパワーを地面に抑え込むため、エアロダイナミクスを極限まで追求した。

フロントのフェンダーは更にワイドになり、スポイラーも拡大。リアのディフューザーも併せて大きくなり、さらに延長まで行われている。

「GTR」と誇らしいロゴが大きく入れられたアクティブリアウイングもまた、性能を向上。ディフューザーから流れるエアに同調し、エアロダイナミクスの効率を引き上げた。

サーキット走行時、高速域におけるどんなハードブレーキングにも耐えうるダウンフォースを発生させる。マクラーレンが生み出した、いや、生み出してしまった“バケモノ”が、セナGTRなのである。

これまでの「LM」をオマージュするセナ LM

さて、マクラーレンが「LM」を極秘(?)に世に送り出すのは、これが初めてのことではない。過去には『P1 LM』や『F1 LM』をデビューさせている。P1 LMは、英国のランザンテがP1のサーキット専用モデルであるP1 GTRをロードカーとして仕様変更したもの。

また、F1 LMはたった2台しか作られなかったまさに幻のモデルであり、その内1台が北米のサザピース・モントレー・オークションに掛けられた際は21億円でハンマーが降ろされたこともある。

そのような背景もあり、かくして新しいセナ LMは誕生したのであるが、セナ LMはF1 LMへの敬意を忘れてはいない。

それが最もよく分かる部分が、装着された5本スポークのホイールである。競売に掛けられたF1 LM。彼もまた、5本スポークのレーシーなホイールを装着していた。こうした細かい“先輩への配慮”が、レーシングカーの血統を良く現しているともいえよう。

ホイール以外にも、通常モデルのセナと比べてセナ LMには多くの変更点が見られる。フロントスポイラーの形状自体にはさほど違いは見られない。

しかし、フェンダー上部には鮫エラ形状のダクトを刻み、ボディサイドには「LM」のロゴを配置する。

テールパイプは3本から4本出しとなり、カラーも変更。リアデフューザーもLMオリジナルの段差が付いたスリット形状となった。

パワートレーンに関しては詳細不明であるが、セナは最高出力800PSを発生させる4.0LのV型8気筒ツインターボエンジンを搭載する。

ここで一旦整理しておくと、ベースモデル セナのサーキット専用モデルがセナGTR。そして、セナ GTRを公道仕様にして特別な装備を施したのが今回取り上げたセナ LMとなる。

スペックだけ見ても一般人には到底扱いこなせなさそうなモデルであるが、7月末にセナ LMの1台がクラッシュしているのをご存じだろうか。

ハンドルを握っていたのは、元F1ドライバーであるエイドリアン・スーティル氏だったそうだ。写真を見てみると車体前面が大きく破損しており、恐らくそのままスクラップになってしまったように思う。

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世界限定20台、販売価格は日本円で2億を超えると噂されるセナ LMは、スパルタン、ピュアスポーツカー、モンスターマシン……どのような表現で飾り立ててもまだ足りないのだろう。なぜなら、元F1ドライバーが扱えないほどジャジャ馬なのだから。