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VWのオープントップSUV!? Tロックの派生モデルTロック・カブリオレはアリ or ナシ?

 2017年11月より販売を開始したフォルクスワーゲン(VW)のT-ロック。今、最もアツい市場となっているコンパクトSUV市場でも一躍人気を獲得したモデルだが、そのソフトトップモデルとなるTロック・カブリオレが、2020年3月より欧州での販売を開始している。今回は、日本導入が待たれるTロック・カブリオレについて深堀りしていこう。

VWのラインナップに、オープントップが帰ってきた

現在、世界中のユーザーが熱い視線を送るのはコンパクトSUV市場に他ならない。そんな中VWが送り出したTロックは、同社のラインナップでも4番目のSUVモデルとなる。

このTロックのソフトトップモデルが、今回スポットを当てるTロック・カブリオレというわけだ。VWファンからすれば朗報であることに違いない。なにしろ、ゴルフ・カブリオレがカタログ落ちし、2019年に生産を終了した3代目ビートル・カブリオレ以来、現状では唯一ソフトトップが与えられたモデルとなるからだ。

わずか9秒で開閉するソフトトップをくみ上げるのは1901年に創業し、現在はVWの傘下となっているカルマン社だ。Tロックのボディにソフトトップを採用するため、Tロック・カブリオレのボディには大きな変更が加えられている。ベースよりもホイールベースを40mm伸ばして2590mmとし、ボディサイズは全長4268mm×全幅1811mm×全高1522mmと、全長もベースよりも長くなっている。

しかし、屋根やピラーがない分、剛性はしっかり確保されていなければならない。そのため、Tロック・カブリオレではフロアやサイドシル、ドアとフロントガラス周辺を強化した。さらに、ベースの4枚ドアを4シーターのまま2枚ドアへ変更。車高の高さを除けば、SUVではなくクーペと見違えてしまうようなスタイリングを与えられている。

VWならではのTSIエンジンで開放的な走りが楽しめる?

グレード展開は、スタイルとR-ラインの2グレードとなる。パワートレーンには、115PSを発生させる過給機付き1.0Lの直列3気筒TSIエンジンと、150PSの同じく過給機付きとなる1.5L 直列4気筒TSIエンジンを用意。基本は6速MT仕様となるが、1.5L TSIエンジンにのみオプションとして7速のデュアルクラッチトランスミッションをチョイスすることが可能だ。 この1.5Lのターボエンジンはかなりスポーティな味付けだ。0kmから100km/hを9.6秒で加速し、最高速度は205km/hだ。数値だけ見ても、じゅうぶんなパワーなのが分かる。

屋根が取り払われ、重心が低くされているお陰でコーナーに突入してもボディロールはしっかり抑制されている。天気のいい日にソフトトップを開けて走りだせば、開放的なドライブを楽しむことができるだろう。

また、インテリアに関しては基本的にはベースとなったTロックと共通だ。水平基調のデザインで硬さを感じさせるインパネ周辺と、使いやすく精度の高い操作系はVWらしい実直な作り。ドライバーの正面に配置されるのは、10.2インチで視認性も高いバーチャルコクピット。センターコンソールには、8インチのタッチパネルを搭載。Android AutoやApple CarPlayにも対応しており、コネクティッドも充分に高められている。

ラゲッジスペースは、通常時で284Lを確保している。ベースであるTロックの標準容量が445Lであることを考えれば、大幅に容量は減少しているものの、リアシートが2分割可倒式となっているため、採用されているトランクスルー機構と合わせてアレンジすれば、それなりの大きさの荷物を積み込むことができる。

Tロック・カブリオレはオープントップの主役となれるか?

正直なところ、SUVのオープントップモデルを購入する層というのは、かなりのマニアだ。現在の市場を見渡してみても、SUVとオープントップ、2つの要素を持っているモデルはほとんど存在していない。しかし、一方ではオープンモデルに対するニーズは確かに存在することも確かだ。欧州で高い人気を博しているTロックにその使命を与えたのは、VWの英断だったかもしれない。その意味で、Tロック・カブリオレはゴルフ・カブリオレの後釜と呼べる存在だろう。

ベースグレードで約325万円からの販売価格となっているTロック・カブリオレ。日本での導入は2020年の夏頃とされている。再び、日本でVWのオープントップモデルが走っている姿を見られる日は近そうだ。