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ジープより新型ワゴニアおよび新型グランドワゴニアがワールドプレミア 30年ぶりにカムバックしたプレミアムSUVの源流

ステランティス傘下にあるジープブランドは2021年3月11日、新型ジープ ワゴニアおよび新型ジープ グランドワゴニアをオンラインでワールドプレミアした。かつては、世界のSUV市場をけん引する存在であったワゴニアが、およそ30年の時を経てカムバックした。

SUVのあり方に一石を投じた伝説的なモデル

ジープのワゴニアといえば、デビュー当時から現在に至るまで多くの4WDモデルに影響を与えた伝説的なモデルである。

1962年に登場したワゴニアは、4輪駆動車として初めてオートマチックトランスミッションを装備。84年にはグランドワゴニアへ進化を遂げ、レザーシートや空調といった快適装備に静粛性の向上など、それまでの4輪駆動車の概念を全て過去のものにしてしまった名機である。

レトロな雰囲気(もちろん当時は最新鋭)を醸すデザインに、ボディサイドにはウッドパネルを用いるという大胆かつ気品ある発想が特徴的で、1991年に生産を終えても尚熱狂的なファンに愛され続けているモデルだ。そのワゴニアがこの度、めでたくリバイバルする。

新型となるジープワゴニア、コンセプトモデルが発表されたのは昨年2020年の9月初頭であった。アメリカンプレミアムの再定義を掲げ、現在のジープラインナップの全ての頂点に立つ高級モデルとして、その威風堂々とした姿を現したのだ。

嬉しいことに、コンセプトモデルのデザインをほとんどそのまま引き継ぐ形で、新型ワゴニアは市販化となる。

先代への敬意を表して

新型ワゴニアおよび新型グランドワゴニアは、ジープの血統を正しく引き継ぐ。伝統の7スロットグリルには、高級時計のベゼルを思わるカット入りのクロームレーザーエッチング加工が施された。

さらに、2トーンのブラックアクセントルーフにプレミアムLEDライト、フェンダーのフレアとパワーリトラクタブルサイドステップを標準で搭載。フロントフェイス周り、ボンネットやグリルなどは、新型ワゴニア・グランドワゴニアのための専用デザインである。

外装にウッドを用いていた先代への敬意として、インテリアに手仕上げのサテンアメリカンウォルナットをふんだんにあしらった。

このウォルナット、高級車の内装にはよく使われる木材であるが、日本語訳だと「くるみ」である。マホガニーやチークと合わせて世界三大銘木と称される最高級木材のことだ。

また、新型ワゴニア・グランドワゴニア共に全グレードで3列シートを標準で搭載。最大8名定員とし、2列目はキャプテンシート仕様となる。

シート位置を記憶するメモリー設定を始め、様々な機能を備えた24ウェイパワーフロントシートを搭載。ドアを開けて最初に目に飛び込んでくるインストルメントパネルには、“EST.1963”の刻印が。これは、先代ワゴニア初めてのモデルイヤーへの敬意と感謝の形だ。

2種類のパワートレーンを用意

新型ワゴニアと、新型グランドワゴニアに搭載されるパワートレーンは2種類だ。最高出力392hp/最大トルク548Nmを発揮する5.7L V型8気筒エンジンに、48Vのマイルドハイブリッドを組み合わせるeトルクハイブリッドエンジンと、最高出力471hp/最大トルク617Nmを発揮する6.4L V型8気筒エンジンとなる。

これらは、いついかなる状況においても、広いトルクバンドを最大限発揮できるデザインのエンジンであり、圧倒的なハイパワーと快適さを高い次元で両立させているという。

また、6.4Lエンジンにおいてはジープブランドで最高のパフォーマンスを発揮するため、専用のチューニングが施された。エキゾーストマニホールドを始めとする各パーツの配置を変更。低回転域より溢れるようなトルクのおかげで、けん引能力はクラストップ。最大およそ4.5トンまでキャンピングカーやトレーラーをけん引することができる。

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プレミアムなフルサイズSUVの新型グランドワゴニアと、セグメントモデルとなる新型ワゴニア。30年ぶりに復刻した両モデルは、ジープというブランドの伝統と革新を体現するモデルだ。2021年の後半より北米を中心に市場に投入される新型ワゴニアとグランドワゴニア。プレミアムSUVの源流は、再び世界に名前を轟かすことになるだろう。