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アウディよりEVモデルの第3段となるe-tron GTが発表 2021年2月より受注を開始

2021年2月9日、アウディが新型BEVの第3段となるe-tron GT quattroをオンラインにてワールドプレミアした。完全電動・ゼロエミッション・ハイパフォーマンスを実現するこのモデルは、世界に先駆けてドイツで受注を開始する。

世界一クリーンな工場から生まれた

世界が脱炭素社会を目指し、大きく動き出している。地球温暖化への対策として、温室効果ガスの排出量を今世紀後半にはほぼゼロにするという「パリ協定」では、2050年までにこれを達成するとして122の国や地域が取り組んでいる。

日本においても、2013年当時と比較して2050年には温室効果ガスの排出量を80%削減、2030年半ばには新車で販売される乗用車全てをEVやPHV、燃料電池車といった電動モデルにするとしている。

そうした動きの中、今回市販化となったe-tron GT quattroだ。アウディ史上初めてのEVとなったe-tronとe-tronスポーツバックに続く、新時代で最もパワフルな電気自動車である。

このe-tron GT quattroは、非常にクリーンなモデルだが、その工場も車を製造しているとは思えないほどにクリーンだ。

e-tron GT quattroを筆頭に、A6やA7といったモデルのハイブリッド仕様がすでに生産されているドイツのベーリンガーホフ工場は、アウディが保有する工場の中で最も多くの電動化モデルが作られている場所。

100%のグリーン電力に加え、リサイクル可能なエネルギー源によって、完璧なカーボンニュートラルで自動車が生み出されている。製造工程においても、廃棄物や紙類は徹底的に削減され、e-tron GT quattroはアウディ史上初めてプロトタイプモデルが作られなかった最初の1台となった。

グランツーリスモとして譲らない性能

「未来のグランツーリスモ」を掲げるe-tron GT quattro。グランツーリスモと聞いて、何を想像するだろうか。英語読みならグランドツーリングとなるこの言葉、本来は長距離を快適に走行できる車という意味だ。

極論すれば、車内が窮屈でエンジンも非力な軽自動車以外は、ほとんどがグランツーリスモに当てはまるといえるのだが、ハイパワーなエンジン・乗り心地や静粛性・ハード/ソフト含めた快適装備・カーブ/ストレートの安定性・実用的なラゲッジなどなど……グランツーリスモの称号を得るためには越えなくてはならないハードルが多数存在する。

そういった観点で、e-tron GT quattroを見てみると、グランツーリスモを名乗るに相応しい性能が与えられているといって間違いないだろう。

パワートレーンとして、フロント/リアアクスルにモーターを設置、最高出力476ps/最大トルク630Nmを発揮。搭載されたブーストモードを使用することで、その出力は530psにまで引き上げられる。文句なしのハイパワーエンジンだ。

さらに、サスペンションには伝統のアウディ・ドライブセレクトにオールホイールステアリング、電子制御式のダンパー、電動式の4WDといった先進技術も搭載。スタビリティも申し分ない。

そして、ラゲッジスペースもリアに405L、ボンネット下にも81Lを確保。上で挙げたグランツーリスモの要素をきっちり抑えていることが分かるだろう。

異質にも見える造形

e-tron GT quattroは、そのプロポーションの美しさも際立つ1台だ。極端過ぎるといえるほどのワイド&ロースタイル、ショートオーバーハング、ロングホイールベースが、その流麗なスタイルの秘密である。

パッと見はアウディのA7を少し押しつぶし、クーペ寄りのデザインにしたようにも見えるが、このデザインは前述したようなグランドツーリングの要素をクリアするために必要だったもの。ピュアスポーツカーのような外観を残しつつ、乗員4名の快適さをクリアする。その絶妙なバランス感覚によって、e-tron GT quattroのスタイリングは構成されている。

とはいえ、これまでのモデルと差別化を図るためのいくつかの手法が見られるのも特徴だ。アウディデザインのキャラクターアイコンとなっている大型のシングルフレームグリルは、外周をブラック、グリル部分をボディ同色塗装を施した。これは、内燃機関搭載モデルの逆。

quattroフェンダーと呼ばれる筋肉質で力強いフェンダー造形は、他の4WDモデルよりも3D的で肉感に溢れている。パキっとした鋭いキャラクターラインが特徴的だったアウディならではのキャラクターラインも、e-tron GT quattroではボディ側面ドアノブをつなげる様に走る1本だけで、他は丸みを帯びて立体的だ。

これだけを見ても、e-tron GT quattroがこれまでのモデルとは全く異なるデザインフィロソフィーによって構成されていることが分かる。電動モデルが持つ機械的なイメージ。それをe-tron GT quattroからは、ほとんど感じることができないのも特筆すべき点だろう。

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Audi e-tron GT quattroは、アウディの次世代を担うべく生まれてきたフラッグシップモデルだ。すでに、本国ドイツでは日本円でおよそ1,260万円で販売されることがアナウンスされている。走行性能とユーティリティを備え、高次元でスペックをまとめたAudi e-tron GT quattroは、日本に上陸すればユーザーの興味を強く引く1台になることは間違いないだろう。