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【ビュイック エンビジョン】フルモデルチェンジ 中国で戦うミドルサイズSUVが2代目に

2021年1月21日、ビュイックのミドルサイズSUV・エンビジョンのフルモデルチェンジ発表された。スポーティな都市型SUVは、一体どのような進化を遂げたのだろうか。

エンビジョンの市場における立ち位置

ビュイックは、ゼネラルモータースが誇る中・上級車ブランドである。例によって現在日本に正規代理店は存在しない。現在は、北米や中国を主な主戦場としており、地球上にあまた存在する自動車ブランドの中でも古参の1つに数えられている。

ビュイック自体は、1903年に創設されたビュイック・モーターをルーツとしている。現在のようにGM傘下になった後は、たびたびブランド廃止の噂が囁かれてきたものの、お膝元のアメリカではなく中国市場で急成長。

今回発表されたエンビジョンの新型は、現在世界最大の自動車マーケットといっても過言ではなくなっている中国において、ブランドの存在価値を決定づける重要な1台である。

今回のモデルチェンジにて、エンビジョンは2代目となる。初代モデルの販売が開始したのは2014年の中国市場であったので、およそ7年ぶりのテコ入れだ。

ビュイックの小型SUV・アンコールと、3列シートを内蔵するアンクレイヴの間を埋めるミドルサイズSUVだったことを除けば、ブランド内では影が薄い存在であったことは否めない。しかし、今回の新型ではそういったマイナーなイメージを払拭するための多くの仕掛けが施されている。

もう、影が薄いとは言わせない

ありきたりな存在でしかなかったエンビジョン。ところが、新型ではそのプロポーションを美しい造形に仕上げてお披露目された。これには、3サイズの変更が大きく貢献している。

ニューモデルになるにあたり、新たに採用されたキャデラック XT4と同様のプラットフォームがエンビジョンを目を引く存在に押し上げた。先代と比較して、全高をおよそ20mm下げ、80mmほど横に引き延ばした。ワイド&ローなスタイルは、それだけでスポーティなイメージを強めるが、さらに薄く鋭くなったヘッドランプにはLEDを採用する。

プリファードとエッセンスに加え、トップグレードのアベニールで構築されるエンビジョン。アベニールでは、標準で光沢仕上げの専用メッシュグリルとパールニッケル仕上げ専用デザイン20インチアルミホイールを装着する。

プリファードとエッセンスでもオプションのスポーツツーリングパッケージを追加することで、ダーク仕上げの20インチアルミホイールやモールディング。ダークグロス塗装が施されたロアトリムなどが装着される。

だが、美しさだけでは目を引く存在足りえない。威圧的なボンネットのパワーバルジに加え、筋肉質なフロント/リアフェンダーデザインは、しっかりとトレンドを抑えていることがうかがえる。

バランスに優れる2.0Lターボエンジンを搭載

新型エンビジョンに搭載されるパワートレーンは、最高出力228ps/最大トルク350Nmを発生させるターボチャージャー付き2.0L ガソリン4気筒。このエンジンに、9速のオートマチックトランスミッションを組み合わせた。

先代のベースモデルよりは最高出力/最大トルク共にパワーアップであるが、プラットフォームを同じくする兄弟車・キャデラック TX4の2.0Lエンジンが最高出力237PSであることを考えると、比較して少々非力だ。

とはいえ、ここはエンジニアがバランスを取ったことを素直に評価すべきだろう。均一なトルク曲線は、乗り心地にも大きく影響する。新しいプラットフォームの採用によって、ボディ剛性がおよそ30%向上したというニュー・エンビジョンに猛々しいパワーは不必要であろう。

また、ベースは前輪駆動であるが、AWDも利用することが可能。こちらには、ヒルディセントコントロールが搭載されており、ドライブモードの選択で降雪時の悪路走破性を高めることもできるという。

※ ※ ※

第二次世界大戦以前には、日本にも正規に輸入されていたビュイック。冒頭でも述べたが、新型エンビジョンはビュイックにとって極めて重要なモデルとなる。選手層が厚いチームは、それだけで注目する価値が出てくるからだ。すでに販売を開始しているエンビジョン。価格は日本円でおよそ342万円からとなっている。