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メルセデスが電動SUV EQCのオフロードコンセプトを公開

メルセデス・ベンツが、『EQC 4×4² Concept』を公開した。このコンセプトモデルは、現在販売されているEQCのオフロード性能を高める、多くのカスタマイズが施されたモデルだ。

電気自動車を刺激的なモデルにするために

振り返ってみると、メルセデスがブランド初の市販EVであるEQCを発表したのは2018年秋のことだった。SUVスタイルの大柄なボディをした完全電動モデルであり、サブブランド名としての「EQ」と、車格を示す「C」を組み合わせた車名が与えられた。つまりEQCとは、EQブランド内のCクラスEVということになる。

今回発表されたこのコンセプトモデルは、EQCのオフロード性能を尖らせた1台だという風に捉えてしまって構わない。やもすれば退屈に思えてしまうEVというカテゴリに、強烈な味付けを施したのである。EQCの魅力を引き出すための、たった一つの冴えたやり方だったわけだ。

ただし、4×4²という名称が使われたのは今回が初めてではない。ヘビーデューティーなGクラスにも4×4²が存在する。

究極のオフロードスーパーカーを謳うこのモデルは、価格も含めてスペックも型破りなモデルであった。ということは、EQC 4×4² ConceptはEVでGクラス4×4²と同じくオフロードスーパーカーを目指した1台なのだろう。

オフローダーとしての第一歩

ベースとなったEQCと見比べるまでもなく、スタイリングだけでも多くの改良が加えられたことは一目瞭然だ。まずは、なんといっても腰が高い。ここでいう腰の高さとは、車高のことであるが、EQCの400 4maticと比べても最低地上高は2倍の高さを誇る。数字で見てみると、140mmから293mmにまでリフトアップされた。

このリフトアップという手法はGクラス4×4²にも見られたやり方であり、SUVのカスタマイズでもポピュラーで人気が高いメニューの一つである。293mmという車高は、Gクラスのそれよりも23mm高くなっており、それだけでEQC 4×4² Conceptの車高がどれだけ高くされているかお分かりいただけるだろう。

オフロードを走る車にとって、最低地上高の高さはメリットが大きい。多少の悪路では腹下をぶつけなくなるし、冬の融雪剤によるダメージもカットできる。

キャビンの高度が上がれば運転席に座るドライバーの視認性も増す上、アプローチアングルも増大する。

アプローチアングルをざっくり解説すると、そのクルマがどの程度の斜面まで登ることができるのかの目安だ。EQC 4×4² Conceptではこのアングル角を、フロント31.8度とリア33度とした。これは、28度のアプローチアングルを誇っているGクラスよりも優れた数字となっている。

専用装備と新しいヘッドライト

車高のアップは、EQC 4×4² Conceptにさらなる大径ホイールの装着を可能にした。このオフロードモデルに装備されるのは、285/50R 20という大型のタイヤである。

与えられた専用装備はこれだけにとどまらない。ボディカラーのマットガンメタリックグレーを引き締めるブラックのホイールアーチフレアなどもそうだ。

また、独自の音響システムを搭載している。サウンドデザインアルゴリズムを用いてデザインされたこのシステムは、アクセルペダルの位置や速度、エネルギー回収率といった様々な要因をリアルタイムで計算してドライバーに伝えてくれる。

さらに、スピーカー機能を備えたランプスピーカーと呼ばれる特別なヘッドランプを採用。このランプスピーカーは、音響車両警報システムやAVASとして音を再生することで、歩行者や他の車両に対する安全性も確保する。

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EQC自体はメルセデスで初めてのEVであるが、「4×4²」ファミリーとして捉えるなら3番目のモデルとなる。非常にユニークなコンセプトを持って誕生したEQC 4×4² Concept。メルセデスが、EVでも本格的なオフロードを楽しめることを、身をもって証明して見せた1台だ。市販化の予定はないとされているため、実際にステアリングを握ったテストドライバーを羨むしかないのが悔やまれる。しかしながら、メルセデスが見せたのは可能性だ。これから、こういったコンセプトのEVが続々登場する時が来るのかもしれない。