2020年6月9日、スバルオブアメリカがアメリカ国内で販売しているコンパクトSUV クロストレックの2021年モデルを発表した。クロストレックとは、日本名XVのことだ。スバルには、フォレスターを頂点としたSUV4兄弟が存在する。XVはその中でも末っ子にあたるモデルだ。今回は新型クロストレックがどのように変わるのか、開設していく。
スバルSUVの末っ子で、出世頭
初代モデルは、今のように独立した車名を与えられてはいなかった。3代目インプレッサの5ドアハッチバックをベースとした派生モデルの一部でしかなかったのである。2010年にデビューした初代XVは、アウトバックスポーツとSUVのクロスオーバーとして生まれ、一見すると奇妙にも映りかねないそのコンセプトは市民権を得ることになる。
その後、2012年に行われたフルモデルチェンジにより2代目へと代替わりすると同時に、独立車名のスバル・XVを獲得。その後、2017年のアップデートにて3代目GT系の現行モデルとなった。
追加された新たなパワートレーン
新型クロストレックには、新たに最高出力185PS、最大トルク239Nmを発生させる2.5L 水平対向4気筒エンジンが用意された。このFB25型エンジンは、現行フォレスターなどにも搭載されるスバルの主力ユニットだ。今回のアップグレードに際し、直噴化を施したこのエンジンは出力や効率が向上。自然吸気エンジンならではの鋭いレスポンスとトルク発生のスムーズさに溢れている。
このエンジンを搭載するのは、グレード スポーツ及びリミテッドの2グレード。一方ベースとプレミアムには、最高出力154PS、最大トルク197Nmを発生させる2.0LのFB20型エンジンが搭載される。
内外装もアップデート
エクステリアデザインにも変更が加えられている。目を引くのは、フロントフェイスのリデザインだ。形状を変更したフロントグリルをぐるりと囲むように、バンパーのマットブラック部分が広くなった。
さらに、丸形フォグランプのカバーも大型になり、よりSUVとしてのタフネスさを演出するデザインが用いられている。標準装備される18インチのホイールもリニューアルした。
また、グレード スポーツでは、専用デザインのエクステリア/インテリアが与えられている。専用装備となるフロントバンパーを始め、フォグランプカバーの形状すら通常とは異なる。さらに、フェンダープロテクターはヘキサゴンをモチーフとすることで、アグレッシブさを視覚的に増した。
フロントグリル・ドアミラー・エンブレムにガンメタリック塗装を施すことで、他のグレードとの違いを主張する。通常より1インチダウンした17インチホイールもダークグレーとなり、足元から雰囲気を引き締める。
インテリアにおいても数々の専用装備をおごる。シートはグレー/ブラックのレザー仕様。イエローのステッチを施すことで、コントラストも鮮やかだ。この専用デザインのインテリアには、環境への影響を配慮した防水マテリアル・StarTexが採用されている。
SUVらしく、進化し続けていく
メカニズムでは、グレード スポーツに、SNOW/DIRTとDEEP SNOW/MUDという2つの走行モードに加え、ヒルディセントコントロールを備える「X-MODE」を採用。スポーツ以外のグレードには、CVT(無段変速機)によるX-MODEとヒルディセントコントロールが搭載される。
このヒルディセントコントロールとは、自動車における走行制御技術の一つだ。急な下り坂を走行する場合、速度の上がりすぎを防止するために自動的に速度を制限する技術だ。オンロードはもちろん、オフロードでの悪路走破性が向上している。
また、CVTを搭載するモデルにはステアリングパドルシフターを採用した8速のマニュアルモードを搭載する。この機能により、ドライバーはクロストレックをさらに思いのままに操ることが可能だ。
安全装備の面でも、大幅にアップデートされたことを忘れてはいけない。CVT搭載モデルにはスバルの先進・安全技術の一つであるアイサイトが標準で搭載される。同時に、車線逸脱防止支援システムであるレーンセンタリング機能を含めた新しくて、より高度なアダプティブクルーズコントロールを装備する。
今回のマイナーチェンジは、大きくクロストレックの市場価値を変えてしまうものではない。しかし、それでも確実にクロストレックが持つSUVとしての性能と存在感はアップしている。各メーカー、次々と新たな刺客としてクロスオーバーモデルを投入している現状。スバルが生んだクロスオーバーは、最も個性的なモデルといえるかもしれない。