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マツダの次世代EV・MX-30が欧州で受注開始! EVカーの台風の目となるか?

欧州マツダが、2020年5月20日にマツダの長い歴史の中でも初となるグローバルEVカーとして、MX-30市販モデルの詳細を公開した。MX-30が世界に向けてお披露目されたのは、遡ること2019年に開催された東京モーターショーでのこと。ジャガーにはI-PACE、メルセデスのEQC、アウディならe-tronと、世界中のメーカーがSUVの電気自動車を登場させる中、マツダが群雄割拠の市場に真っ向勝負を挑む形になる。MX-30とはどのようなモデルなのか紹介していく。

EVにも引き継がれる魂動デザイン

エクステリアデザインについては、モーターショーにて発表されたプロトタイプモデルと変更はない。ヒューマンモダンをコンセプトに、新しい価値観をライフスタイルを提供するための表現力豊かな造形だ。

これは、昨今のマツダ市販モデルにも採用されている深化する魂動デザインを、より鮮明に反映させたもの。魂動デザインといえば、キャラクターラインを極力排除した艶めかしいスタイルが魅力だが、MX-30にもそれは深く反映されている。

フロントフェイスは、MX-30をシンプルで力強く演出し、かつ親しみやすいデザインを採用した。印象的なのは、マツダのモデルに採用されるデザインフィロソフィー・シグネチャーウイングが採用されていない部分だろう。グリルの下部が左右のヘッドランプに繋がる翼のような表現はMX-30では廃止されている。”名残り”はなんとなく感じられるものの、マツダがMX-30をグローバルなEVカーとして販売するために、あえて削除したのかもしれない。

ヘッドランプは、誰が見ても最もマツダらしさを感じる部分だろう。円筒形を採用したデザインが、フロントフェイスに奥行きと個性を生み出している。

ボディサイズは、全長4,395mm×全幅1,795mm×全高1,570mmとなっており、既存のマツダのクロスオーバーSUV・ CX-30のボディサイズが全長4,395mm×全幅1,795mm×全高1,540mmなので、ほぼ同寸だ。

また、MX-30には、前後観音開きのドアが採用されている。フロントドアは前方に82度、リアドアは後方に80度開閉する。これは、マツダのRX-8にも採用実績があり、BMWのi3、ロールスロイスのラインナップにも用いられるデザインだが、見慣れない人は特徴的なドアの開き方に目を奪われるかもしれない。

ライバルたちとは違うアプローチで仕掛けるMX-30の魅力

MX-30には、マツダの新世代電気駆動技術・e-Skyactivが採用される。前輪駆動で、バッテリーサイズは35.5kwだ。モーターの最大出力は145PS、最大トルク270.9Nmとなっており、最高速度は140km/h、0-100km/h加速は9.7秒。6.6kwのAC電源またはDC電源を用いた充電で、フル充電なら約200kmの航続を可能とする。

日産が初代リーフを発表して以来、電気自動車の航続可能距離は200kmが最低ラインとなりつつある。200kmといえば、東京都心からほぼ関東一円をカバーすることが可能だ。そういった意味でも、MX-30はかなり実用的なモデルだといえる。

バッテリーの冷却システムには、温度上昇を検知するとバッテリーパックを冷却する冷媒冷却システムを採用した。プラットフォームには、マツダの次世代Skyactiv-Vehicleを採用し、ボディシェルのリング構造の一部としてバッテリーを搭載した。バッテリーパックを20本のフレームで囲むことで、フロアの剛性や車体の制御性は大幅に向上している。

競合するライバル達にくらべて比較的小さなバッテリーを搭載するMX-30は、車重という点で大きなメリットを持つ。小型のバッテリーを高剛性のフロアに敷き詰め、なおかつ高剛性ボディを持つとなれば、マツダがいう人馬一体の爽快な走りを電気自動車であるMX-30でも体感できるに違いない。

このMX-30、すでに2020年5月より広島県の工場で生産を開始している。冒頭でも述べたように、欧州ではすでに受注を開始している。日本での導入は未定とのことだが、マツダが提案するEVとなれば、注目度の高さは言うまでもないだろう。今後の動向に注目したい。