あまりイメージはないが、実のところ福井県は日本が誇るそば処だ。長野県の戸隠・島根県の出雲・岩手県のわんこそばという日本三大そばに比肩すると言っても過言ではないだろう。
なぜなら、福井県は地理的にそば栽培に適しており、機械ではなく石臼で製粉したそばは福井を訪れた際は1度は味わっておきたいほどの名品である。
そんな福井県が誇るそばといえば、越前おろしそばだ。そばに辛み大根をおろしたものと、鰹節、ネギなどの薬味を乗せて出汁を掛けたそば。辛み大根が生み出すピリリとした辛みは、ワサビのそれとは全く異なり、薬味と共に出汁とそばの風味をより深いものにしてくれる。
そんな越前おろしそばを食べられるのが、北陸自動車道武生ICより車でおよそ10分。福井県、越前市深草に店舗を構える『そば蔵 谷川』だ。旅館のような趣のある店舗には、立派な日本庭園が。落ち着いた雰囲気の中でゆっくりとそばを楽しめる。
ここの「おろしそば」は、そばの実を7割ほど殻を残して粗挽きしたそばを用いている。鬼ぐるみにも近い製粉方法で得たそば本来の香りは、まさに唯一無二のものだ。つなぎを一切使用しない十割そばに、辛みの異なる3種類の大根をおろしたものを添える。
そんな絶品おろしそばを食べて、お腹に余裕があるようなら「そばがき」も注文しておきたい。粗挽きのそば粉を練り上げるそばがきは、通常のそばよりも豊かな香りを楽しむことができる。福井県のそばを堪能するなら、この店だ。