2019年にニューヨーク国際モーターショーで発表されたのがヒュンダイ ヴェニューである。ヒュンダイは、インドのマーケットにも力を入れているため、インドで販売される初めてのコネクテッドカーとしてヴェニューを世界に先駆けてインド国内で販売した。ヒュンダイ最小モデルであるヴェニューは、他のラインナップとは一線を画したモデルとなっている。
若年層をターゲットにしたコンパクトSUV
ヴェニューはグローバルモデルである。グローバルな市場を見据えて開発されたモデルが、名称によってそれを表現するのは珍しいことではない。ヴェニューもまたそうである。
これまで、ヒュンダイのラインナップはアメリカの地名にちなんだ名前が多く用いられてきた。例えば、カリフォルニア州のサンタモニカ、パシフィック・パリセーズに由来する「パリセード」、ニューメキシコの州都「サンタフェ」などだ。
もう少し詳しく見てみると、もちろん例外も存在するものの、ヴェニューはすでに地名ですらなくなっていることが分かる。日本では見かけることなどほとんどないヴェニューだが、世界のファンをまず名前で驚かせたのだ。
また、ヴェニューの特徴として、ターゲット層が若いことが挙げられる。ヒュンダイメディアセンターの発表によれば、ヴェニューの顧客層は若者、ファミリー、そして女性であるという。
実際、ヴェニュー顧客全体では1980~1995年生まれのユーザーと1995年以降生まれのユーザーが64%を占めるという。販売価格17350ドル(日本円でおよそ185万円)~という価格設定も後押しする。ヒュンダイのコンパクトSUVは、若年層に訴えかける魅力が詰まっているモデルということだろう。
SUVであることをしっかりアピール
エクステリアは、コンパクトながらタフなSUVをイメージさせてくれるデザインとなっている。格子状の3Dグリルパターンが採用されたカスケードグリルは非常に個性的だ。
押し出し感の強いグリルに対して、LEDが採用されたヘッドランプは細くて鋭い。さらに、LEDデイタイムランニングライトがえくぼのように見え、少しチャーミングさも感じられるフロントフェイスを構築している。
サイドに回り込んでみると、フロントフェンダーからリアにかけてくっきりと入れられたキャラクターラインがSUVらしさをアピール。ホイールアーチをボディ下部をぐるりと囲むブラックアウトされた樹脂製パーツもタフさを印象付けるのに一役買っているのが分かるだろう。ルーフレールを装備することで、積載能力も向上している。
また、ヴェニューではエクステリアに色付きのアクセントパーツを装着することが可能だ。ホイールアーチやサイドミラーなどにカラーアクセントパーツを施すことで、個性的な仕上がりを実現。ボディカラーには12パターンの2トーンカラーと、11色のシングルカラーを設定した。
ホイールは15インチのスチールホイール及びアルミホイールに加え、17インチのアルミホイールが用意されている。
ラゲッジ容量はしっかり確保
一方、インテリアでは6色のシートカラーと2つの素材を備える。シンプルかつ機能的な車内となっており、3つのダイヤルを備えたH-VAC制御のインパネ周りが先進的でスポーティな雰囲気を醸す。
同時に、SUVらしい快適性と利便性を追求した。リアシートは、60:40の分割可倒式シートを採用。折りたたんで格納すれば、買い物や旅行など荷物が増える場面でも積載能力に不満が出ることは少ないだろう。
また、2段のラゲッジボードとカバーシェルフを装備しているため、多くの使い方に対応することも可能だ。このカバーシェルフはリアシートバックに収納することもできるので、背が高い荷物も余裕を持って積み込めるようデザインされている。
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ヴェニューに搭載されるパワートレーンは、最高出力123PS/最大トルク15.7kg・mを発生させるSmartstream G1.6ガソリンエンジンと、最高出力123PS/最大トルク15.4kg・mを発揮するガンマG1.6 MPiガソリンエンジンだ。
このユニットに、インテリジェントバリアブルトランスミッションFWDか6速マニュアルFWDが組み合わせられる。キビキビとアクセルに応えるレスポンスと、静粛性を両立したヴェニューは、街乗りでも高速走行でもシーンを問わず活躍できるだろう。
コンパクトなクロスオーバーSUVとして、最良のバランスを実現している。競合車と比較しても、独特の魅力を放っている部分が多く感じられる。ヴェニューは、グローバルなユーティリティプレイヤーなのだ。