中央自動車道勝沼ICより、車でおよそ20分。昭和10年より続く、日本最古のワイナリーとして有名な「まるき葡萄酒」が手掛ける温泉旅館が『笛吹川温泉 坐忘』である。
霊峰・富士山を背に滔々と流れる笛吹川、そのほとりに広がる3000坪にも及ぶ広大な敷地の中に、本館と離れ、別邸と合わせて19室のみの贅沢な客室がゲストを待っている。
日本庭園の小道を抜けた先、ひっそりとたたずむ日本の伝統色を元にしつらえた別邸、美しい庭園の景色を望むテラスと露天風呂が併設された本館和洋室、数寄屋造りの本館離れ、テラスに加えて岩風呂を備える本館洋室、それに本館和室を加えた5タイプは季節の移り変わりと日本の伝統文化を色濃く反映した造りとなっている。
料理は、園内の築140年を数える古民家を改装した「懐石料理まる喜」で。山のごちそうとして、郷土の食文化と甲州ワインといった里山の美食を使ったおもてなしだ。一汁三菜ではじまる料理の原点は、見た目の華やかさこそないかもしれないが、ゲストを精一杯もてなすための献立は素材本来の美味しさ滋味に溢れている。
また、ここでは温泉もまたごちそうだ。日本庭園を眺める露天風呂を始め、先人が遺した洞窟風呂、ガラス張りで開放感に満ちた大浴場など、源泉かけ流しのお湯をゆっくりと堪能できる。高アルカリ性の源泉は美肌にも効能があるとされ、僅かに鼻腔をくすぐる硫黄の香りがじんわりと心身の疲れをほぐしてくれるだろう。