千葉県が誇るご当地麺料理といえば、勝浦タンタンメンが挙げられる。この麺料理は漁業盛んな勝浦で、仕事の後に冷えた体を温めるために考案されたという。
オーソドックスなスタイルは、醤油ベースのスープと中華麺を組み合わせたもの。ここに、ラー油で炒めた刻み玉ねぎやひき肉が乗っている。一般的なタンタンメンとの大きな違いは、胡麻や芝麻醤を使用しないという点だ。ちなみにこの勝浦タンタンメンだが、商標に登録されているため、勝手に勝浦タンタンメンと銘打って売り出すことはできない。まさに、千葉県でしか食べることのできない幻の逸品だ。
この勝浦タンタンメンを生み出したのが、元祖である『江ざわ』なのだ。東京湾アクアライン連絡道市原鶴舞ICより、車でおよそ30分。昭和29年に創業したこの店の当時の店主が、手に入らなかった芝麻醤を使わずにオリジナルでタンタンメンを再現。漁師や海女の間で人気を博し、勝浦タンタンメンとして定着したのである。
江ざわでは、基本の辛さとなる「担々麺」を始めとして、辛さが段階的に上がっていく「中辛」や「大辛」。具材の挽肉の量を増やした「上担々麺」といったメニューが楽しめる。
真っ赤なスープはルビー色。1口すすると、ラー油と唐辛子の辛みが駆け抜けるようだ。しかしながら、ちゃんとスープ自体の旨味やコクもしっかり感じることができる。麺の食べ方には要注意が必要だ。すすらずに、一口ずつ箸を使って口の中に入れていこう。これで、むせてしまうことを防ぐ。
50年以上に渡って愛され続ける勝浦タンタンメンは、身の程をわきまえた辛さで楽しもう。